暮らしに役立つ法律用語 第17回 自筆遺言サポートシステムのご紹介

第17回 自筆遺言サポートシステムのご紹介

負債の清算に有効な面も

ここまで、相続にかかわる問題点をいろいろご紹介してきましたが(まだまだ続きます。)、遺言に関しては、我が国では利用される頻度が低いと言われています。遺言のない法定相続の場合ですと、

特別受益、寄与分などの問題もあり、そう簡単に法定相続割合どおりに相続が進みません。

また、遺産分割協議もまとまらない場合には、不動産が共有になって最悪の場合、強制競売ということになってしまいます。遺言があった場合でも、遺留分という厄介な問題がありますが、遺言の作成が相続紛争の防止に相当役立つことは間違いありません。また、往年は自分が亡くなった後のことは勝手にしろ、という方もいまいしがた、最近では相続紛争が増加しており、遺言したい、という方も増えているはずです。

では、なぜ遺言の利用が進まないのでしょうか?まず、ひとつには、遺言者の方にご自分で遺言を作成したい、という希望があるように思います。公正証書遺言では、遺言そのものは公証役場で作ってしまいます。それに、遺言者の希望などの、法律上の効力のない事項もあまり記載してくれません。さらには、公正証書遺言にはコストがかかります。こういう事情で、自筆証書遺言の利用が多いのですが、従来、自筆証書遺言ではあまり紛争防止に繋がらない、と言われています。

それは、まず遺言の書き方には判例上のルールがあるにもかかわらず、ご自分で作成されるときには、結果的にそういったルールを無視して内容が不明確になってしまう、というのが一つの原因でしょう。それから、自筆証書遺言は、証人がいないため(証人の記載があると「全文自筆」という自筆証書遺言の要件を満たしません。)、遺言者の意思が明確でない、ということも大きな要因です。そのため、本人の真意ではない、とか、筆跡が違うなどといったクレームが発生することがあります。

そこで、当事務所において、この度「いえ活通信」との協助事業として、「自筆遺言サポートシステム」を立ち上げました。

このシステムは、簡単にいうと自筆証書遺言の欠点を弁護士が立ち会うことによって補正しよう、というものです。具体的手順としては、①まず弁護士が遺言したい内容をお聞きして、遺言の文案を作成し内容をご確認する。②弁護士事務所において、弁護士の面前で、文案にしたがって遺言を自筆していただく。③遺言作成後に、弁護士の証明書(意思確認のうえ自筆し、押印した旨を弁護士が確認する内容)を発行する。というものです。これによりまして、全文自筆、遺言者による押印、遺言者の意思にしたがった遺言であること、が担保できることになります。また、遺言の内容も判例上のルールに準拠しておりますので、記載内容についての疑義がでることもほとんどないと思われます。また、公正証書遺言に比して、遺言作成コストもはるかに削減できます。

この「自筆遺言サポートシステム」の詳細について興味のある方は、いえ活通信のホームページからご覧いただけます。
以 上

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