第23回 消費税の経過措置
消費税の経過措置
Q 工事などの契約には、消費税の経過措置があると聞きましたが、その内容を教えて下さい。
A 指定日の前日までに請負契約を締結していれば、消費税率は旧税率を適用できます。

消費税の経過措置の内容
平成29年4月1日(施行日といいます。)から消費税率が10%に引上げられる予定(再延期の話題も出ていますが現時点では未確定。)ですから、原則としてその日以降の住宅等の引渡しは10%の消費税率が適用されます。
ただし、注文住宅などのように、契約を締結してから物件の引渡しまでに長期間を有する取引には、個別的に経過措置が設けられていて、指定日(平成28年10月1日)の前日までに請負契約等を締結していれば、完成引渡しが平成29年4月1日以降になったとしても、8%の消費税率が適用されます。
過去に3%から5%、5%から8%に消費税率が引き上げられた時と同様に、指定日(半年前)の前日までに契約をすれば、引き上げ前の消費税率が適用されます。
経過措置を適用した場合は、請負業者は経過措置の適用を受けたものであることを書面で通知することとされていますから、契約書の作成は要件となっていませんが、何らかの書類により経過措置の適用要件を満たすことを明らかにする必要があります。
また、指定日の前日までに工事の契約をしたのであれば、施行日前に着工するかどうか、対価の全部又は一部を収受しているかどうかに係わらず、経過措置が適用されます。

経過措置の対象となる取引かどうか
住宅等の取得にかかる消費税は、引渡し日の税率が建物に課税され、土地には課税されません。そのため、購入金額のうちに建物部分の占める割合が高くなる分譲マンションのほうが、消費税の増税の影響が大きくなります。
注文住宅の場合は、請負契約を指定日の前日までに締結すれば、完成引渡しが施行日以降になっても8%の税率が適用されます。
ただし、注文住宅は土地探しや建築会社との打ち合わせに数ヶ月かかるのが普通ですから、時間の余裕をもって進めないと、指定日の前日までに契約できない恐れがありますし、追加工事が生じた場合には、原契約は8%の税率でも追加工事は10%の税率が適用されます。
リフォームの場合も経過措置の対象になります。大規模なリフォームであっても契約から完工までに半年以上かかる事は考えにくいと思いますが、増税前の駆け込み工事も予想されるため、早めにリフォーム会社に相談しておいた方がよろしいかと思います。
新築の建売住宅や分譲マンションの場合は、請負契約ではなく資産の譲渡契約ですから、経過措置の適用はありませんので、施行日前に引渡しを受けないと消費税の増税の影響を受けてしまいます。
しかし、建売住宅や分譲マンションであっても、内装や設備の仕様変更などの注文工事がある場合には、経過措置の適用対象になりますが、国税庁のホームページを検索すると、それほど大がかりな注文工事でなくても対象になりそうです。
中古の戸建住宅やマンションの場合は、売主が不動産会社の場合には、請負契約ではなく資産の譲渡契約のため経過措置の適用はありません。売主が個人の場合には、消費税は課税対象外のため影響はありません。

充分に余裕をもって
消費税の経過措置の適用を受けるには、早めに準備を始める事が大切です。指定日近辺になると駆け込み需要等が発生し、建築会社やハウスメーカーの対応が間に合わず、経過措置が受けられない事も想定されますし、急いで契約を結んだことによって変更や追加が出てしまうと、税率引上げにより負担増になることが考えられますので、変更や追加が出ないように充分な余裕と検討期間をもって契約に臨んでいただきたいと思います。

益本プロフィール

masumoto2
益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

メルマガ2016年
【そうわ通心6月号】
【そうわ通心5月号】
【そうわ通心4月号】
【そうわ通心3月号】