第22回 固定資産税の精算金
固定資産税の精算金
Q 不動産売買の際に固定資産税の精算を行うそうですが、その内容を教えてください。
A   本来は税金の精算ではなく、売買価格の調整とされます。

固定資産税等の精算金とは?
固定資産税及び都市計画税(以下、「固定資産税等」と言います。)は、その年1月1日時点で「固定資産課税台帳」に登録されている方に、その年の1年分の納税義務が生じますので、年の途中で売買等を行った場合でも、1月1日時点の所有者が、1年分の固定資産税等を納めなければなりません。
不動産の売買を行うと、物件の引渡し日を境に所有権が移転しますので、1年分の固定資産税等を日割り計算して、引渡しの前日までは売主が負担し、引渡し日以降は買主が負担するとして、引渡し日以降の固定資産税等(以下、「未経過固定資産税等」と言います。)を、買主から売主に支払うのが不動産取引の慣行となっています。

未経過固定資産税等の計算
未経過固定資産税等の計算は、暦年に合わせて1月1日を起算日として12月31日までを1年とする考え方と、地方税の会計年度に合わせて4月1日を起算日として翌年3月31日までを1年とする考え方のいずれかにより、納税通知書に記載された年税額を日割りで按分計算し、売主及び買主それぞれの負担額を精算します。 ちなみに関東では1月1日、関西では4月1日を起算日とする事が多いそうです。

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固定資産税の納税通知書は、毎年5月から6月頃に1月1日現在の所有者へ送付されますので、売買による引渡しの時期によっては、その年の年税額が確認できない場合もあり、その場合は、
①納税通知書の到着を待って精算
②前年分の税額で仮計算して納税通知書が届いてから改めて精算
③前年分の税額で精算して再精算をしない
といった方法によりますが、固定資産税等は3年に1度、平成の元号の3の倍数年に評価替えを行いますから、前年分の税額を参考にする場合には注意が必要です。いずれにしても、契約書において基準日やどの方法で精算するかは明確にしておきます。

税務上の取り扱い
未経過固定資産税等は、税務上は税金の精算ではなく、売却価格の調整ですから、売主は売却価格に上乗せして譲渡所得の収入金額とされ、買主は取得価額に含まれます。
仲介業者を経由していれば、売買契約の時に固定資産税の精算も行われると思いますが、知人間などの相対取引では精算されていないこともあるでしょう。このような場合は、売主は譲渡所得が正しく計算されない事になり、買主は取得価額が正しく計算されない事になります。
購入した物件が賃貸目的のアパートや貸家、あるいは賃貸併用住宅であるときは、不動産所得が正しく計算されない事になりますし、その物件を将来売却する時には譲渡所得も正しく計算されない事になります。
さらに、商売をされていて消費税の課税事業者の方の場合では、未経過固定資産税等の精算金のうち、土地に対応する金額の消費税は非課税で処理される一方で、建物に対応する金額の消費税は課税対象として処理しなければならないなど、様々な箇所に影響を与えます。

過去の確定申告書を拝見しますと、未経過固定資産税等は見過ごされてしまって、購入・保有期間中・売却といった各段階の計算や、場合によってはそれに伴う消費税も、過去に税理士に頼んでいたとしても、正しく計算されているとは言い難い内容のものが非常に多く見受けられます。
税務署から指摘を受けないようにするために、税理士に相談する事をお勧めします。

益本プロフィール

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益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

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