第21回 不動産の購入による節税
不動産の購入による節税
Q 不動産を購入すると相続税の節税になると聞きましたが、理由を教えてください。

A  購入金額と相続税評価額が異なるためです。

なぜ節税対策になる?
以前のコラム(第13回)で、相続対策は大きく三つに分けられ、それは「遺産分割対策」「納税資金対策」「節税対策」であり、優先順位もこの順番で考えるべきと説明しましたが、今回は「節税対策」の基本となる不動産を購入するとどのような効果があるのかを確認してみます。

なぜ、相続税の節税になるのでしょうか?それは財産によって評価方法が異なるためです。

現金や預金はほぼその残高が相続税評価額ですが、土地の評価額は以前のコラム(第16回)でも触れたように、新たに購入した金額のおおよそ7割くらいの評価額になると思われます。

勿論、地域特性やニーズ・物件の個別属性によって割合は異なると思いますが、現金や預金から不動産に組み替えるように、別の財産に組み替える事によって節税になる事を、財産の組替効果と言います。

評価額の目安
土地の評価は、住宅地では路線価で評価する事は読者の方々もご存じかと思われます。路線価とは、その路線に接する1㎡あたりの土地の価格を千円単位で定めたもので、国税庁のホームページか税務署で閲覧できますし、不動産業者さんや税理士さんからも入手できます。

路線価は公示価格の80%の水準とされていますから、仮に公示価格(あるいは基準地標準価格)を100として、実際の土地取引の価格を110と仮定すると、80÷110で約73%。概算レベルでは購入金額の7割くらいを目安としても問題ないでしょう。

建物は固定資産税評価額で評価します。既存の建物なら毎年5月か6月くらいに送付される固定資産税の納税通知書の課税資産明細に、物件ごとの評価額が記載されていますからそこで確認できます。

建築予定や新築の場合はまだ評価額が付されていませんから、目安を立てる場合は住宅でも木造系や鉄骨系で異なり、木造系で購入金額の4割から5割くらい、鉄骨系で6割から7割くらいといったところでしょうか。概算レベルでは購入金額の5割くらいでみておけば、大ブレはしないと思います。

この購入金額は建物の躯体や構造体の金額であって、住宅の購入諸経費を含めた総額ではありませんから、外構設備やカーテンやエアコンなどは除きます。

実際に相続税の申告をする場合などは、最寄りの税務署や税理士さんに相談する必要がありますが、ある意味の割り切りとしては良いかと思います。

財産の組替効果の例示
簡単な例示をしてみます。

201601masumoto 1
この例示では預金6千万円を自宅や貸家に組み替えるとした場合で、実際のケースでは家族構成やこの規模の賃貸ニーズや地域といった現実問題があるかも知れませんが、仮に自宅で使用すると40%財産を圧縮でき、賃貸ではより圧縮効果が高まる事になります。これは相続税法に規定する財産評価に基づいて、財産の組替効果を活用した結果であり、この例示からも不動産の購入は、組替効果が確実で即効性があると考えられます。

平成27年1月1日から相続税の基礎控除額が、4割縮小されて相続税は増税となりましたが、預金を住宅に組み替えると財産が4割圧縮されるという事は、少々強引ですが、この増税改正をある程度相殺できるとも考えられるのではないでしょうか。

平成25年分の相続税の申告状況が国税庁のホームページで閲覧できます。
相続財産中の土地の価額が占める割合は、全国平均で41.5%といったように近年は下降気味のようですが、不動産を活用した相続対策は、いつの時代も基本かつ重要なテーマであると思います。

 

益本プロフィール

masumoto2
益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

メルマガ2016年
【そうわ通心6月号】
【そうわ通心5月号】
【そうわ通心4月号】
【そうわ通心3月号】