第20回 親子間の土地の使用貸借
親子間の土地の使用貸借
Q 親の土地の上に住宅を建築しようと思いますが、土地の貸し借りで注意する事はありますか。

A  親子間では、借地権利金や地代の支払いをしない使用貸借契約が一般的です。

土地の使用貸借契約とは?
第三者間で土地の貸し借りをする場合には、賃貸借契約(借地権の取引慣行のある地域を前提。)として、借地権利金と地代の支払いがされます。
地主の方や広い土地を所有する世帯では、親の土地の一角に子供が住宅を建築して、同じ敷地内の別棟に自宅を構えるケースをよく見受けます。これらのケースのように親子間では借地権利金や地代の受け渡しをしないことが通常ですが、このような土地の契約形態を使用貸借契約(民法593条)といいます。使用貸借契約では一時金や地代の支払いを行わないことが多く、また、地代の金額が固定資産税程度であれば使用貸借と取り扱われます。この場合に借地人である子供には借地借家法上の借地権は発生しません。

税務上の取り扱い
税務上、個人間の土地の使用貸借契約では、原則として借地権に関する課税は生じない事になっています。これは昭和48年の国税庁通達で「建物等の所有を目的として使用貸借による土地の借り受けがあった場合 (中略) 土地の使用貸借に係る使用権の価額はゼロと取り扱う。」とされた事から、土地の貸し借りで借地権利金などの支払いが無く、地代の支払いも無ければ、借地人に借地権等は発生しないものとして借地権の価額はゼロとされます。
建物の所有を目的とする土地の使用貸借のほとんどは、貸主と借主の双方が夫婦や親子など親族間で行われる場合です。貸主と借主の利害関係の対立が無く、借地権利金や地代を払う事が無い無償取引の場合、建物の所有を目的とする土地の貸借であっても借地借家法の適用はありません。
 土地の貸付が使用貸借契約である場合、貸主としては自己の所有権に対して、借地人の借地権等が認識されないため、相続税評価額を計算する場合は貸宅地ではなく、あくまで自用地として評価を行います。

実務上の注意点
① 権利金の課税関係
使用貸借により親の土地に子供が住宅を建てた場合の借地権等はゼロとされるため、子供が親から借地権等の贈与を受けたとはされず、贈与税の課税を受ける事はありません。
これが第三者間の賃貸借契約で、借地権利金の受け渡しが無い場合には、原則として賃貸人から賃借人に対して借地権相当の贈与があったとして課税されます。
② 無償使用による毎年の地代の課税関係
使用貸借によって土地を借りるという事は、借地人は将来に渡って無償で使用収益できる事から、貸主から地代相当額の経済的利益を受けている事になり、この経済的利益に対する贈与税の課税が行われる可能性も考えられます。
ただし、その経済的利益の額が少額である場合や、課税上弊害が無いと認められる場合には、相続税法基本通達9-10において、贈与として課税しなくてもよいとされています。
③ 相続税の評価

使用貸借されている土地を相続する際の相続税評価は、自用地として評価をします。貸宅地としての評価はできません。借地人に借地権等が発生しないため、地主は利用制限が生じないためです。

皆様の周辺にも親子間での土地の無償の貸し借りは、当たり前のようにあるケースですが、贈与税の課税が行われないのはこのような考え方によるものです。



 
 

益本プロフィール

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益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

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