第19回 住宅取得等資金の贈与税の非課税
住宅取得等資金の贈与税の非課税
Q 住宅を取得する時に親から援助を受けるとメリットがあるそうですが、注意点を教えてください。

A  贈与税の特例規定の一つです。特例を受けるためには一定の要件と手続きを行います。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」といいます。  現在の規定は、平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母から住宅の新築等の資金の贈与を受けた場合で、一定要件を満たすと非課税限度額まで贈与税が非課税となります。
平成27年以降の規定は「新非課税制度」として国税庁などから紹介されていますので、特例制度の詳細はパンフレットなどで確認をお願いします。

 

住宅用の家屋の種類

住宅用家屋の

新築等に係る契約の締結日

   省エネ等住宅     左記以外の住宅
H27年12月31日まで  1,500万円 1,000万円

H28年1月1日から

H29年9月30日まで

1,200万円 700万円

H29年10月1日から

H30年9月30日まで

1,000万円 500万円

H30年10月1日から

H31年6月30日まで

800万円 300万円

(注)例示は消費税率が10%ではない場合です。消費税は平成29年4月1日から10%になります。

 

≪ポイント≫
(1) 資金援助を受けた年の翌年3月15日までに全額を住宅の取得等に充てる。
住宅取得等資金ですから他の用途に使用したら非課税になりませんし、日本国内にある住宅(土地の取得を含む)に限られます。


(2) 翌年3月15日までに居住又は居住すると確実に見込まれる。
注文住宅などを新築する場合には、翌年3月15日時点で家屋が新築に準ずる状態(屋根や骨組みを有し、土地に定着した建造物として認められる状態)であれば新築とみますが、住宅等の取得といった建売住宅やマンションは、完成引渡しを受けていないと適用できませんし、売買契約を締結しただけでは取得とは言いません。


(3) 贈与税の期限内申告が必要
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、一定書類を添付した贈与税の期限内申告書を提出しないと特例規定は受けられません。


(4) 贈与を受けた資金は相続税に加算されません。
 相続開始前3年以内の贈与は、生前贈与加算という規定によって相続税の課税価格に加算されますが、住宅取得等資金の特例を受けた贈与は相続税の課税価格に加算されませんから、相続対策として検討できます。


(5) その他にも細かい要件がありますが割愛します。

景気回復策として制度面から後押し
消費税10%への引上げが平成29年4月に先送りになった事は、住宅購入を検討する上で大きなメリットでしょうし、住宅ローン控除が拡充され、住宅ローン金利も過去最低水準で推移するなど、住宅取得資金の調達がし易くなっていますが、景気回復とともに住宅価格は上昇傾向にあり、住宅取得層の30歳代の平均年収と平均貯蓄は低下傾向が続いているようで、高齢者世帯からの贈与を税制面から後押しする事により、住宅取得の負担を軽減する制度となっています。住宅を購入するきっかけはそれぞれですが、制度面からは環境が整っているとも考えられるようです。

特例が受けられない!?
住宅取得等資金の贈与は特例規定ですから、特例を受けるためには適用要件を充たす必要があり、ポイントでも記述したように必ず期限内に贈与税の申告が必要です。
住宅の購入は人生の一大事業の一つと言われるように、住宅の購入前から購入後も非常にやる事が多く、仕事面でも多忙だと申告する事を忘れかねません。完成引渡しまでは気が張っていて様々な検討もしますが、ほっとして注意がうすれてしまう事もあるでしょう。油断大敵です。
一方、自分の注意だけではどうにもならないのが、翌年3月15日までに物件の引き渡しが間に合わない場合です。景気回復によって人手不足が深刻化している建設・住宅業界では建設資材の高騰とともに、工期の長期化が問題になっていますから、スケジュールを確認して無理のない計画にするとともに、資金の贈与を受けるタイミングにも十分な注意が必要です。

 
 

益本プロフィール

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益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

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