第18回 贈与税の配偶者控除
贈与税の配偶者控除
Q 夫婦の間で住宅を贈与すると贈与税がかからないそうですが、どのような制度なのでしょうか?

A  結婚20年以上の夫婦の間で住宅を贈与した場合には、2,000万円までは贈与税がかかりません。

別名、「おしどり贈与」と言います
この制度は「贈与税の配偶者控除」の事で、別名「おしどり贈与」と言います。何とも味のあるネーミングですね。婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産又は居住用不動産の取得のための金銭を贈与した場合には、贈与税の基礎控除110万円の他に2,000万円までが課税価格から控除できます。つまり、合計2,110万円までは贈与税がかからないのです。

適用要件は?
この制度は贈与税の特例ですから、適用を受けるためには翌年3月15日までに贈与税の申告をします。贈与を受けた財産の価額が2,110万円の範囲内で、贈与税がかからないとしても、適用を受けるという意思表示のための申告が必要になります。
① 婚姻期間20年以上の夫婦間の贈与
② 日本国内の居住用不動産(建物・土地・借地権)又は居住用不動産を取得するための金銭
③ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で居住用不動産を取得して、実際に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
④ 翌年3月15日までに一定書類を添付した贈与税の申告書を提出すること

注意点は?
現物の居住用不動産を贈与する場合には、一部分の持分贈与や、建物だけ土地だけという贈与でも適用できます。
同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用を受けられませんので、今年は半分で来年は残りの半分といった贈与はできません。
居住用不動産を取得するための金銭の贈与では、翌年3月15日までに実際に住んでいなければ適用できないので、建築計画の完成・引渡の時期に注意が必要です。
贈与税はかかりませんが、不動産の名義変更をする際の登録免許税や不動産取得税、以後の固定資産税は課税されます。登記費用や火災保険料などの負担も考えておく必要があります。
そもそも、相続税がかからない財産規模であるならば、適用を受ける必然性は有りません。

相続対策の観点
最大のメリットは、相続開始前3年以内の贈与であっても、配偶者控除の適用を受けた贈与は、相続税の課税価格に加算しなくていいという事、つまり相続財産から除かれる点です。
居住用財産の現物の贈与と、居住用財産を取得するための金銭の贈与では、どちらが相続対策に有効かといえば、一般的には現物の贈与の方が節税効果は見込めると思われます。
現金2,000万円の相続税評価額は2,000万円ですが、相続税評価額2,000万円の土地の取引時価はそれ以上の金額になります。これは土地の相続税評価額は、取引時価の80%~70%程度で評価されるためであり、相続対策としての不動産の有効活用は、相続税評価における財産の組替効果を活用する事にあるからなのです。

配偶者控除は申告要件の他に注意すべき点もありますので、実行する場合には税理士に相談する事をお勧めします。夫婦という同一世代間の財産の移転は、税制面からも優遇規定が設けられており、相続対策としてのメリットも見込めますので、検討してみては如何でしょうか。

 

 
 

益本プロフィール

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益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

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