第17回 住宅を売却した場合の特例制度
住まいの買換え特例と住宅ローン控除との関係
Q 住宅を売却した場合には様々な税金の特例があるそうですが、どのような内容でしょう か?

A  譲渡所得の特例の選択と、住宅ローン控除との関係に注意が必要です。

1.譲渡所得の特例
住宅の売却、すなわち居住用財産の譲渡(譲渡益が生じた場合)の課税関係は、その居住用財産の所有期間が10年以下か、10年超かで適用できる特例が異なります。
(1) 所有期間が10年以下の場合は「三千万円特別控除」を受けられる特例があります。

計算明細書と添付書類を提出する確定申告要件があります。別荘などの譲渡や譲渡の相手先が親族などの場合には適用できません。

(2)所有期間が10年超の場合は「三千万円特別控除」と「軽減税率の特例」を合わせて適用できます。軽減税率の特例とは、売却した年の1月1日において所有期間が10年超の居住用財産で、一定要件に該当するものの税額は、 一般の長期譲渡所得よりも低い税率で計算できる制度です。一般の長期譲渡所得の適用税率は国税と地方税を合わせて、20% (別途、復興税が課税されます。以下同じ。)ですが、譲渡所得のうち六千万円以下は14%、六千万円を超える部分は20%となります。確定申告要件と共に親族などへの譲渡や、特定居住用財産の買換えを受けている場合は適用できません。

所有期間10年超の居住用財産のうち一定要件を充たすものは、(1)と(2)または「特定居住用財産の買換え」のいずれかを選択して 適用できます。
特定居住用財産の買換えとは、売却した年の1月1日において所有期間が10年超で、居住期間が10年以上の一定の居住用財産  を譲渡して、床面積50㎡以上の家屋など一定要件に該当する住宅の買換えをした場合には、譲渡益に対する課税を将来に繰り延  べる事ができる制度です。買換えは譲渡益の繰り延べであって非課税となるわけではありません。確定申告要件と共に親族などへ  の譲渡や、他の特例を受けている場合には適用できません。


2.住宅ローン控除との重複適用の制限
 住宅の住み替えには、古い住宅の処分と新しい住宅の購入を検討する事があります。旧宅を売却して新居の購入資金とする事もあ  りますし、住宅ローンを申し込むのも一般的ですが、売却代金と住宅ローンで購入を計画している場合には注意点があります。居住  用財産の譲渡の特例と住宅ローン控除の重複適用には制限があり、新居に居住した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産の譲渡の特例を受けている場合には、住宅ローン控除の適用は受けられません。

例えば、旧宅の売却代金と住宅ローンで新居の購入を計画する場合、居住年とその前年・前々年に旧宅を売却した譲渡益に対して  三千万円特別控除などの特例を適用すると、住宅ローン控除は受けられませんから、居住用財産の譲渡の特例を選択した方がいいのか、住宅ローン控除を選択した方がいいのか検討が必要となります。

先に新居を購入して住宅ローン控除を受けていて、居住年の翌年・翌々年に行った旧宅の譲渡について居住用財産の譲渡の特例を適用してしまうと、住宅ローン控除を受けられなくなりますから、既に住宅ローン控除を受けた居住年以降はその適用が無いものとして修正申告書を提出する事になります。
 住宅の住み替えには、税金負担を少なくできる方法を検討しましょう。

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益本プロフィール

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益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

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