暮らしに役立つ法律用語 第8回 法定相続・相続排除    

「法廷相続・相続排除」とは?

 前回まで、遺言と遺留分の関係をご説明してきましたが、遺言がないまま相続が開始したときの相続人の取り分、つまり相続割合はが定めています。

 まず、相続人の範囲ですが、被相続人の子(887条1項)及び配偶者(890条)は相続人となり、被相続人に子がないときは、直系尊属、つまり親が相続人となり(889条1項1号)、直系尊属もいないときは兄弟姉妹(けいていしまい、と読みます。)が相続人となります(同項2号)。具体的な相続割合としては、相続人が子及び配偶者のときは、配偶者が2分の1、子が2分の1となり(900条1号)、子が数人あるときは均等割合となります(同条4号)。例えば配偶者と子3人が相続人であれば、配偶者が2分の1、子が各6分の1の相続割合となります。
 次に、配偶者と直系尊属が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となり(同条2号)、配偶者及び兄弟姉妹が相続人のときは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(数人あるときは均等割合)となります(同条3号)。このように民法887 条~890条が定める相続人を「法定相続人」又は「推定相続人」と言い、民法900条が定める相続割合を「法定相続割合」と言います。
 それでは、相続が発生する前に、例えば親が亡くなる前に法定相続人である子が既に亡くなっていた場合はどうでしょうか?この場合、死亡した法定相続人は法定相続から除外されるのではなく、法定相続人の直系卑属、つまり子は、死亡した法定相続人の相続分を承継することが認められます(民法887条)。これを「代襲相続」と言いますが、兄弟姉妹の子には代襲相続は生じません。
 このように被相続人が遺言のないままで相続が発生したときは、法定相続によって相続人が決まるのですが、例外として「相続人の排除」という制度があります。これは、推定相続人が被相続人を虐待し、若しくは重大な侮辱を加え、又は著しい非行があったときは、被相続人はその推定相続人を法定相続から排除することを裁判所に請求できる、という制度です(民法892条)。この相続人排除の申立てをする権利があるのは被相続人ですから、相続人の排除は基本的には被相続人の意思に委ねられる、ということになります。ただ、相続人排除は遺言でも意思表示することができ(民法893条)、その場合、遺言執行者が被相続人に代わって相続人の排除を請求することになります。
また、相続人の排除の対象となるのは、以前ご説明した遺留分(1028条以下)を有する相続人、つまり法定相続人のうち兄弟姉妹以外の相続人と定められています。
 しかし、この相続人の排除請求はそう簡単には認められません。単に虐待したとか、自分(被相続人)の言うことを聞かない、などの理由では不十分です。過去の裁判例においては、例えば重大な犯罪によって懲役刑に服役しているとか、当該相続人に浪費癖があって度々被相続人が借金を肩代わりした、又は被相続人の財産を違法に勝手に処分してしまった、というような重大な事案のみ相続人の排除が認められています。

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