第23回 「境界と占有の不一致」
このところ、土地の境界の確定という厄介な問題についてお話していますが、

調査、測量の結果と周囲の土地の占有状況が一致していれば、その後の手続は比較的順調に進むと思います。問題は、一致していない場合です。例えば、隣地の方がブロック塀を立ててその内側を庭にしている、というのに、測量の結果、庭になっている 部分もこちらの土地だ、ということになれば、隣地の所有者としては、「そんなことはあるか。」ということになる訳です。

こういった場合、取得時効と言って、一定の期間不動産を占有すれば、その所有権を取得する、という制度があって、これが土地の境界問題を複雑にしています。極端に言えば、土地の境界について紛争が起きた場合には、ほとんどの場合、この時効の問題が絡んでいます。取得時効については、次回ご説明する予定ですが、とりあえず、ご理解頂きたいのは、以前申し上げた公法上の境界である筆界と、所有権の範囲つまり所有権界がずれている、ということが十分に考えられる、ということです。

この場合、対応としては二つ考えられます。ひとつはあくまで公法上の境界が境界だ、と主張して、境界を越境している部分の明渡しを求める、という手段です。もう一つの対応は、時効の主張を認めて、相手方が占有している範囲の土地の所有権を渡す、ということです。前者の場合には、時効取得が成立していない、と主張して裁判であくまで争うほかありません。後者の場合には、所有権の範囲と、筆界が不一致になっていますので、これを是正することが必要になります。具体的には、占有している範囲を測量して、その部分だけ分筆して、「時効取得」を原因とする移転登記を行うことになります。

もちろん、どちらの場合も、権利を取得する側が一定の金銭を支払って和解する、ということは十分に想定される解決手段です。むしろ、境界紛争は、ほんの数センチないし数十センチを争っている割に、時間と手間がかかることが多いので、どこかで妥協できるのであれば、話し合いによる解決を探ることをお勧めします。特に、時効取得に基づいて、土地の一部を分筆して移転登記する、というような場合には、まず、元の土地の分筆登記が必要となり、そのためには測量して周囲の土地の所有者から境界確認書にサインしてもらうことが必要となりますが、そういった経費は、通常利益を受ける側、つまり時効取得によって土地の移転登記を受ける側が負担することになります。ですから、そういったコストが多額にかかるのであれば、明らかになった境界(筆界)まで土地を明け渡してもらって、その際に一定の和解金を支払う、といった解決も十分検討可能だと思われます。

                                                                            以 上

相場プロフィール

aiba
相場中行

弁護士
弁護士法人 アクトワン法律事務所