第18回 登記情報の読み方

今回から、少し目先を変えまして、相続でも不動産取引でもまず基本となる登記情報や境界についての基礎知識についてお話します。

不動産のなかでも土地については、本来、日本中が一続きになっています。しかし、安心して不動産取引をするためには、同じ土地に二個権利が成立したのでは困りますし、土地の権利がどの部分が対象なのか、わからないのでは困ることになります。そこで、どの国の制度においても、どの範囲が1個の土地になるのか、について公開(公示)して、取引の安全を守っているわけです。我が国においては、不動産登記法、という法律に基づいて不動産登記記録によって、「ひとつの土地」というのが決められます。往年は、法務局に「不動産登記簿」が備えてあって、その謄本(コピー)を登記簿謄本、と言ったのですが、現在では登記情報はすべて電磁的記録が原本になっていて、登記簿謄本にあたるものは「登記事項証明書」と呼ばれます。

この登記記録は、「表題部」「甲区」「乙区」に分かれますが、このうち表題部にその土地の番号(地番)、どういう種類か(地目)、どのくらいの広さか(地積)、が記載されて、所有権の対象となる土地が特定されるわけです。このうち、地目は特に重要です。宅地とか雑種地であればその土地のうえに建物が立ちますが、道路や水路が地目となっている土地には家が建てられません(最低限地目変更登記が必要です。)。それから、田はもちろん、畑となっている場合は、農地法で利用が制限される可能性があるので要注意です。

次に、甲区というのは、基本的には今の所有者が誰か、が記載される欄です。しかし、登記情報はあくまで当事者の申請に基づいているので、稀にですが、甲区に記載されている所有者が本当の所有者ではない、というようなこともあります。差押の登記なども甲区になされます。また、乙区は所有権以外の権利、つまり抵当権とか賃借権とかが登記される欄です。ですから、乙区に沢山抵当権設定登記などがなされている物件は、相当借金があることが解りますので(抵当権設定登記には、債権額も記載されます。)、そういう登記記録は、「登記簿が汚れている。」などと言われるわけです。土地の所有者に対する債権者は、一番最初に不動産を差押の対象として考えますので、乙区にべたべたと抵当権の設定登記がなされている物件はいわば要注意物件、ということができます。

そして、我が国では、表題部の登記をするのが土地家屋調査士、甲区、乙区の登記をするのが司法書士の仕事、という棲み分けがなされてます。しかし、登記情報を見ただけでは、地番によってどのあたりか、はわかりますが、具体的にどの範囲がその土地か、を正確に特定することはできません。そこで、土地の境界はどうやって決まるのか、について次回ご説明したいと思います。

以 上

相場プロフィール

aiba
相場中行

弁護士
弁護士法人 アクトワン法律事務所