日本の庭園といえばすぐに石灯籠を思い出します。それほど石灯籠をいうのは日本の庭園と
密接な関係をもつものと考えられています。
石灯籠には、社寺の献灯用に用いるもの(社寺系灯籠と、茶人好みに自由な感覚で作られた
露地用のもの(庭系石灯籠)と大きな2つの流れがあります。
そもそもが、石灯籠は庭園に使われるものではなく、仏殿前の献灯として寺社の境内の正面
に一基おかれるものでした。
石灯籠を庭園に取り込んだのは、桃山時代に起こった「茶の湯」文化といわれています。
茶の湯の「露地」から照明器具として石灯籠が庭に取りいられるようになりました。それが庭の添景物の一つになり、「侘び」の演出するものとして用いられてきました。
基本となるオリジナルの石灯籠は「本歌」と呼ばれ、これらは日本の石造美術品ともいえる価値があります。これらを模して多様な灯籠が作られ、置かれている寺社の名をとって名付けられることが多いですが、窓の形状や茶人の名などから名づけられたものもあります。
社寺の名前を付けられた灯籠には、春日型、三月堂型、平等院型、善導寺型などがあります。窓の形状によるものには、三光灯籠(月日星の形の窓がある)などが、有名な茶人の名を付けたものには利休型、織部型、遠州型、珠光型などがあります。
埋め込み灯籠(灯籠の基礎がなく地中に竿を埋め込んで据えるもの)の中ではどんな庭にも
合いやすい灯籠です。茶人の古田織部の名前をとったもので、竿に掘られた文字や人物の
形状などから「キリシタン灯籠」とも呼ばれます。
最近では和風建築より洋風建築が増えています。その中多く使用することが少なくなってきていますが、中庭などで部分的に和庭を演出するなどがあります。
灯籠は庭を生かすことをできる価値をもったものだと思います。古くてはやらないものと考えられてもいますが、小ぶりのものであるとか、線の柔らかいものであるとか等、目的に合いそれぞれの庭の雰囲気に生かした用い方を積極的に取り入れていくとおもしろいのではと思います。