第27回 お買いになった資産の買入価格などについてのお尋ね
Q 住宅を購入すると税務署から書類が届くと聞きましたが、どのような書類でしょうか?
A 税務署の資産課税部門が課税漏れを探す情報収集目的のための文書です。

お買いになった資産の買入価格などについてのお尋ね
住宅の購入がされた場合などに、課税漏れを探す情報収集目的の「資料箋」という文書で、税務署の資産課税部門から納税者に送付され、「誰が、共有者と共有持分はどのくらいで、どの資産を、誰から、いつ、いくらで売買し、付随費用はいくらで、購入代金はどうやって用意したのか」といった項目の回答を求められます。
税務当局では、「共有持分の錯誤、頭金など現金比率が高い、親族から贈与はないか、他の資産の譲渡はないか」といった情報収集を目的とし、ローン比率が高いと送付されないこともあります。
お尋ねのため回答義務は絶対ではありませんが、回答しないとか虚偽記載の場合には、税務当局から別の形で問い合わせが行われる可能性があります。

 

贈与課税と名義変更通達の取り扱い
相続税法基本通達9-9(財産の名義変更があった場合)には、「不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、原則として贈与として取り扱うものとする。」と記載があり、不動産等の所有権移転が行われると、税務当局は登記情報の登記原因に基づき、外観(登記)と実質(真の所有者)が一致するのが通常であるとして、名義人が真の所有者であることを前提とした贈与の事実認定を行います。
そのため、お尋ねにより得た情報による住宅を購入した際の資金負担割合と、登記の共有持分に整合性がない場合には、「親から子」や「夫から妻」への贈与による取得と「推定」されて贈与課税とされます。
ただし、共有持分登記の不整合が、親子間や夫婦間で贈与の意思に基づかない場合の例外規定として、2つの名義変更通達が税務当局の事務処理マニュアルとして存在します。内容を要約しますと、
① 名義人になった事を知らなかった、その財産を使用収益していない、名義財産の処分代金等を真の所有者が収受している、過誤(事務処理間違い)や軽率(無知や浅はか)による名義変更の場合で、贈与税の申告期限や決定・更正等までに登記を直せば、贈与はなかったものとする。
② 様々な事情、法令による所有制限や所得制限、詐害行為、財産確保などやむを得ない理由があって、その事実確認が可能な場合は、贈与はなかったものとする。その他細目など。
税務知識の乏しい一般の納税者が行った錯誤登記などについて、形式的判断で贈与課税をするのは適当でないという趣旨で、昭和39年に定められた歴史のある通達で、税務当局にしては珍しい温情通達となります。

 

是正の手続きなど
錯誤登記を是正するには「所有権更正登記」といった方法によりますが、登記に要する登録免許税は、これらの是正手続においても課税されます。
不動産取得税は、課税主体である地方自治体によって異なるかも知れませんが、錯誤を原因とした課税はされないと思われます。
普段から税理士や税務当局と関わりのない方は、税務リスクを考えずに不動産・有価証券・自動車などの高額資産を取得する際の実態に即さない名義や、事後の安易な名義変更をしてしまうことがありますが、名義変更通達に例示するケースのように、贈与の意思がなく、過誤・軽率・様々な事情などやむを得ない理由による場合は、名義戻しや事実確認によって、贈与税の申告期限を過ぎた後でも課税はされませんから、税務当局に事情を説明し、名義戻しや資金負担割合に応じた更正登記をすることになります。
そもそも、住宅を取得する際に、実際の資金負担割合に応じた共有持分登記であれば、問題は起こらずに想定外の税金負担もなく結果的に節税になります。

 

 

  

益本プロフィール

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益本正藏

税理士
税理士法人 総和
http://www.m-partners.jp/
益本公認会計士事務所
代表社員

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